27歳サラリーマンのお役立ち日記

生活で学んだこと、気づいたことを書いていくブログです。誰かの役に立ちますように。

【感想文】両利きの経営

今回のテーマ

今回は最近読んだ「両利きの経営」を紹介します。

書店でなんとか引かれて手に取りましたが、なかなか示唆に富んだ本でした。

ハーバードとスタンフォードMBAコースの教授が執筆していて、豊富な事例が掲載されていたのも参考になりました。

 

 

 

 

ポイント

この本のタイトルにもついている「両利き」という言葉は原文では”Ambidexterity”(すなわち双面性などが直訳になる)と表現されているが、要は”既存ビジネスの深化”、”新ビジネスの探索”の二面性を指している。

 

一般的に企業は事業の成熟に伴い、既存事業を既存の市場でどう深化させていくかという面に偏っていく。

というのも、目先の収益を確保するためには、コスト/リスクの低い既存の分野で戦った方が効率的なためである。この傾向は成功すればするほど進み、「成功の罠=サクセストラップ」とも本書で表現されている。

 

しかし、企業を取り巻く環境は常に変化しており、企業は絶えず転身を遂げていかなくては生き残ることができない。

例えばフィルムカメラで世界1位・2位を争っていたコダック富士フィルムを見ると、

フィルムカメラの高品質化ばかりに囚われていたコダックは過去の会社になったのに対して、富士フィルムは既存ビジネスの深化に加えて、カメラ技術を応用した事業(化粧品・医薬品・携帯電話用レンズ、複合機)を探索することで成長を続けてきた。

これからの変化がより早くなる時代には、深化と探索を同時に行い成功を遂げ、

新しい資産や組織能力を創出してこそ、長期的な成長を遂げることができるのだ。

 

また、今まで同じような仕事の進め方では深化と探索の両立はできず、

経営者・幹部の探索への主体的な関与、また別組織化が成功には不可欠である。

 

 

学びを得た点

今日、最も成功した企業の一つのアマゾン、あるいは日本で最も存在感のあるトヨタ

どちらの企業も、両利き経営の考え方に沿って発展してきたということがわかった。

 

アマゾンはオンライン書店から何でも売るマーケットプレイスに、そして現在では物販にとどまらずクラウドコンピューティング、動画配信、コンテンツ制作まで自社の領域を広めている。

これにはCEOのベゾスを中心とした経営人材の手腕の賜物という評価が本書ではなされている。

 

また、トヨタは祖業である織機の技術を生かしてながら、自動車の開発を続け、今や世界一の自動車会社の一つになった。

これから自動車が徐々にコモディティー化していく中で、トヨタはモビリティーカンパニーになっていくことを目指しているようだが、まさに両利き経営が求められているのだろう。

日本の会社は内向き志向になりがちと言われているが、トヨタや前述した富士フィルムなど、両利き経営に成功して発展した企業もあり、今こそそうした会社を参考にしつつ移り変わりの早い市場を切り開いていく必要があるのだろうとも感じた。

 

この本を読むと良さそうな人

個人的には企業内で新規事業の推進をする立場の方には、この本を読んでもらいたい。

私もその中の一人であるが、収益化がされないと評価等がなかなか上がらないのがこのポジションのサラリーマンの共通の悩みだと思うが、決して”穀潰し”ではないんだと言い聞かせられる内容であった。

(日本の会社で改善や業務効率化がなにより評価されるのは、深化の方が評価されることの裏付けでもある)

 

また、経営層や役員クラスにも、こういうものから学びを得てもらえればいいんだろうけどなあ。

この本にも出てきますが、マネージャーは深化の過程で仕事をマネージすることが求められるが、一方でリーダーは探索に向けて仲間をリードしていく役目で、今の時代マネージャーとリーダーの素養はどちらも必要とのこと。

得てして、「マネージャー」タイプの人間が自分の上司には多い気がしてしまったので、尚更そう思いました。

 

まとめ

現在はデジタル革命があらゆる産業に影響を及ぼす

第4次産業革命の最中だが、そんな中でこそ大胆にイノベーションを起こしていくことを目指すべき。

短期的収益に囚われ、深化にだけフォーカスするのではなく、次の10年を支える収益源を地道に探す活動を進めていくことが必要である。

(でないと、日本は本当に時代の波に取り残されるんだろうと危機感を感じた。)